通勤路の風景 4

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春の陽気の日曜日。何気ない日常が以前にも増して、とても愛おしく感じます。

今日もこの広瀬川を眺めながら事務所まで。新築あり震災復旧あり調査ありと、慌ただしい毎日。

 

ムスカリ

仙台では、いま桜が見頃を迎えています。しかし今年はどうもしっくりこない。目の前にある強烈な現実が、儚くも美しい桜をかき消してしまうからでしょうか。桜というのは、平穏な日常の中でこそ美しく感じるのかもしれません。

それよりも、今年はムスカリの佇まいに心惹かれます。公園などでもよく見られる、小さな紫色の花を鈴なりに付けた、かわいい花です。花言葉を調べると、失意、失望、通じ合う心、夢にかける思い、明るい未来だそうです。まるで正反対の意味がありますが、この順番で読んで被災地と重ね合わせると、今の気持ちに一番しっくりくるような気がします。

Muscari2

我が家のムスカリもたくさん花をつけました。

被災地の方々へ。そして、手術になるらしいあの方へ。

 

懐かしい仕事

Hall

十数年前に担当した岩手県の体育館が被災したので、その被害調査をしたのですが、あまり大きな被害はなくて良かった。むしろ今でも綺麗に使っていただいてて嬉しくなりました。

調査とは全然関係ありませんが、細かくチェックしていると、忘れていた当時のことをあれこれと思い出し、懐かしくもあり、月日の速さに驚く。

例えば、このホールはRC打ち放し以外は白い空間にしたので、色っぽくないとか上司に言われましたが、今見てもなかなかいいじゃないですか、体育館なのに美術館のようなホール。

現場監理では日付が変わるまで打合せをして、それから高速で仙台まで帰ったこともしばしば。気合を入れすぎ変更ばかりで、施工者にはずいぶんと迷惑を掛けたな、とか。

Jog

それからこの体育館には、アリーナをぐるりと回れるジョギングコースがあります。

ただ走るだけではつまらないので、単調にならないように山の緑を取り込みつつ、印象的な光に満ちた空間を創ろうと考えて設計したことを、ここを見て思い出しました。この時は、窓の存在を極力感じさせないようなディテールを散々検討した記憶があります。

もう十数年も前の話し。いきなり任されたプロジェクトだったこともあり、若くて未熟だったけど、一所懸命でした。

この頃の苦労は、大変だったけど得がたい経験として、今につながっている、はず。

 

プレゼン

先週末は、三角敷地第3弾プロジェクトの初プレゼン。

今回の敷地は三角と言えども広いので、建物は箱型として、それを雁行させることで生まれる三角の余白で魅せる、という提案。

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1/200の模型

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1/100の模型

まだまだこれからですが、今後のご要望も柔軟に吸収できそうなプランになっているので、スタートラインとしてはなかなか良い設定ではないかと思っています。これから全体構成をアレンジしつつ、徐々に細部を造り込んでいくのが今から楽しみで仕方ないのですが、クライアントも同じように感じておられるのが、最高に嬉しい。

 

ヘドロの後始末

Photo

先日の倉庫の中に堆積しているのは、津波が運んできた大量のヘドロ。約15cm程のヘドロが一面に溜まっていますが、これがとても厄介。このままでは臭くて、重くて、滑る。かと言って乾くと、細かい粉塵と細菌が舞って体に悪いらしい。

とんだ産業廃棄物を押し付けられた感じです。ヘドロ以外にもたくさんの廃材が流れ着いており、敷地が広く堆積量が半端じゃないので、結構切実。

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この広い構内全てを清掃・消毒するだけでも気が遠くなりそうなうえ、周りの田畑などはほぼ手付かずの状態。これがいずれ倉庫運営の障害にならないか、と一抹の不安を覚える。

 

模型たち

震災のあと、滅茶苦茶に散らかった事務所の中からサルベージされた模型たち。

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不思議なことに、没プロジェクトのほとんどが破壊された一方、進行中は意外と生き残っています。これは単なる偶然か。無慈悲な震災にも多少の遠慮はあるようです。

なんて言ったところで負け惜しみにしか聞こえませんね。ボツの中にもかなり気に入ってたものがあったので、やはりショックです。

 

津波の威力

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仙台港で見た異様な光景。

こんな大きな船を持ち上げるほどの水嵩だったのですね。しかしこの船は倒れないのでしょうか。

Sinkou

googleマップの航空写真で見た仙台港の様子。

復興とかその前に、あちらこちらでまだ手付かずの状態です。

 

ガスが来た

待ってました!ようやく我が家にも、ガス屋さんが開栓作業に来たようです。
今日は家に帰ったらお風呂に入れる。なんという幸せ。
ちょうど一ヶ月ぶりだ。

 
今、仙台には全国のガス会社から大勢の人が支援に来てくれています。各会社とも、資本関係は全くないのですが、同じ業界ということで、駆けつけてくれたそうです。我が家の周辺は愛知の東邦ガスが頑張っていました。みな山形に寝泊まりして、バスで通っています。まさにオールジャパンの頼もしい団結力。アツいね。
設計する身としてはやはり復旧の早いオール電化だとは思っていますが、ガスも悪くないな。うん、悪くない。
そして、何事もひとつに集中するのは良くない。リスク分散のためにも。
 

昨夜の強い地震

昨夜再び強い地震があり、ここ仙台市では前回と同じ震度6強だそうです。3.11の余震と見られる中で最大のもので、大きさや揺れ方も全く同じでしたが、前回の半分くらいの時間で揺れが収まったのがせめてもの救い。我が家は1階なので物が落ちる事もなく、うちの子供たちはグッスリ寝たままでした。意外と神経太いのね。鈍感なだけか。津波の被害が無かったのも幸い。

再び宮城県内の広い範囲で停電になってしまいましたが、我が家は何故か電気が来てます。断水もありません。それだけでも大助かりです。ガスはあと少しの辛抱と思っていたけど、またしばらくお預けでしょう。

とはいえあの揺れ方ですから、せっかく片付けた事務所が心配。街の様子も気になるところです。

ボーダーライン

昨日の倉庫を管理している所長の体験談。

車で避難中に津波に巻き込まれ、前後の車はみな押しつぶされ流れていったにも関わらず、自分のは運よく浮かんで漂流したとのこと。そのまま1km以上流されたところで脱出し、近くの鉄塔によじ登り、翌朝救助されたのだそうです。救助を待つこと約13時間。小雪舞う寒い夜だったはずですが、良くご無事だったと感動。

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その鉄塔から撮った写真を見せてもらいました。3月11日17:47。

近くのコンビナートでは火災が発生し、次々と爆発炎上していったとか、眼下には人が流れ、どこからか聞こえてくる助けを求める声もいつしか聞こえなくなった、などなど。本人曰く、次々と起こる惨劇はあまりに現実離れしていて、まるで映画のようだったそうです。

そんな状況下で届いた、お孫さんなど家族全員無事とのメールに安堵し、大いに希望をもらったそうです。

この話には私のモチベーションも当然上がります。今はまさに有事。早く復旧させたいとの思いに駆られます。